みみず鎖モデルの末端間距離の厳密解
[Phys. Rev. E, 投稿中 (2005)]


紹介者 = 堂寺知成

高分子 54(2005) 7月号,海外ニュース,p.492

みみず鎖モデルはDNA,高分子電解質,多糖類,高分子ブラシなど半屈曲性高分子を記述する優れたモデルである。しかし,ガウス鎖の末端間距離の分布関数は教科書に載っているが,みみず鎖モデルの厳密解が得られたのは近年のことである。このA.J. SpakowitzとZ.-G. Wangによる論文では,山川の展開した図形的方法を利用して,末端間距離分布のフーリエ・ラプラス空間におけるグリーン関数の連分数展開を行い,末端間距離が厳密に計算された。彼らは屈曲性のパラメータを持続長と高分子の長さが同じ程度の場合,末端間距離が2つのピークをもつ分布関数になることを示した。つまり高分子が伸びた状態(エネルギー優勢)と丸まった状態(エントロピー優勢)の2状態を取ることになる。これらを理解するためには彼らのMacromolecules, 37(15), 5814 (2004)も参考になり,著者の一人のWang教授はソフトマター2005 (8/1-3京大基研)で講演される予定である。また,別グループによる論文Phys. Rev. E, 71, 021909 (2005)では,局所的屈曲(キンク)可能な半屈曲性高分子モデルの厳密解を扱っている。